学校問題1でお悩みの方へ

お子様が通われている学校からの退学や自主退学勧告について、弊事務所の所属弁護士が、裁判例の傾向の把握、適切な証拠の確保、学校との交渉・裁判・仮処分などにより、迅速に問題の解決を図ります。弊事務所は、東京と福岡に拠点を持ち、電話やオンラインも利用して全国対応しております。お気軽にご相談ください。

なお、いじめ対策・学校事故の対応等の学校問題に関しては、こちらよりご覧ください。皆様のご参考になりましたら幸いです。

学校問題2(いじめ・学校事故等) ▸

校舎

「退学問題」例えばこんな問題はありませんか?

  • 学校から退学処分を受けたが、納得行かないので取り消したい!
  • 学校から自主退学するよう勧告(自主退学勧告)を受け、退学届を出すべきか迷っている、又は、すでに退学届を提出してしまったので退学届を取り消したい!
  • 退学処分を受けるほど、悪いことはしていない!
  • 退学処分を受けるようなことは全くしていない。えん罪である!
  • 他の生徒は退学になっていないのに、自分の子どもだけ退学になったのは不当である!
  • 不当な退学処分をした学校に対して損害賠償請求をしたい!
教室

山上国際法律事務所からの提案

当事務所では、学校からの退学・自主退学勧告といった学校での懲戒問題及びそれに対する復学に積極的に取り組んでいます。
学校を退学することは、お子様の人生に大きな影響を与えかねません。また退学によって学校に通うことができなくなることで、友人やコミュニティとの交流が立たれるなど、多感な時期のお子様について、精神的にも深刻な被害を生じかねません。

しかし、弁護士のアドバイスや学校との交渉、訴訟によって、退学や自主退学勧告を回避できる可能性があります。

退学・自主退学勧告(懲戒処分)について

お子様が学校側より退学・自主退学勧告といった懲戒処分を受けるおそれがある場合、または退学・自主退学勧告といった懲戒処分をすでに受けた場合には、弁護士が介入して、学校に対し、退学処分や自主退学勧告の無効を求めて争い、又は損害賠償請求を行う等により、問題を抜本的に解決できる可能性があります。

退学や自主退学勧告がなされる場合には、大きく分けて2つの場合があります。1つは、学校から言われた違反行為に身に覚えがないという場合、もう1つは、学校から言われた違反行為はあるのだけれども、退学が重すぎる、という場合です。

なお、「自主退学勧告」というのは、退学処分そのものではなく、学校から、自分で退学してください、退学しないならば退学処分にします、と言われるものです。この、学校からの自主退学勧告は、退学処分と変わりないことから、退学処分もやむを得ないと思われる事情がなければ行うことはできないと解されます。しかし、時には、学校が、生徒及び保護者に対し、十分な根拠がないままに自主退学勧告を行い、しかも、「すぐ退学届を出してくれたら次の学校にスムーズに行けるようになります」などと述べて、生徒と保護者がよく考える時間を与えられず、退学届を出してしまうということがあります(このように退学届を出してしまった場合でも、退学を争うことは可能です)
しかし、上述のとおり、この自主退学勧告も退学処分と変わりがありませんので、そういう前提でご説明致します。

(1) まずは、学校から言われた違反行為に身に覚えがない場合についてご説明致します。
そもそも、なぜ、違反行為に身に覚えがないのに、先生から誤解されて、退学と言われてしまうのか、これは、学校の先生は、警察官ではない、すなわち事実の調査を行う専門的な能力がないにもかかわらず、それを行おうとしてしまうからだと思うのです。
例えば、A君が、先生に対し、B君から殴られた!と訴えたとします。
そうすると、先生は、A君、B君両方から話を聞きます。
このときに、加害者だと言われたB君に対して、複数の教員で取調べのようなことを行って、その結果、B君が、「認める」という内容の、事実と異なる反省文を書いてしまったという場合があったとします。
このときのB君に対する先生達の聞き取りのやり方が悪い場合があるわけです。
では、違反行為に身に覚えがないのに退学と言われたら何ができるか、ですが、本当に自分に身に覚えがないなら、先生が何と言おうが、明確に否定してよいと思います。その結果、学校が退学と言ってきたら、身に覚えがないことですから、退学を争うことができます。
また、もし、身に覚えがないのに、先生に言われたまま反省文を書いてしまい、退学と言われたというような場合でも、先ほど述べたように先生の調査のやり方が悪いこともありますし、その他の理由で争える可能性はありますので、その場合でも退学を争うことができます。

退学に納得できない②
学校が言う違反行為に身に覚えがない場合

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(2) 次に、2つ目の、退学が重すぎる、というパターンについてご説明致します。
学校には学則というのがあり、そこに、罰則ということで、こういう違反をしたら退学にする又は停学にするということが書かれています。しかし、通常は、学校教育法の条文をそのまま引用しているだけで、細いことまでは書いていなくて、ざっくりした校則になっていることが多いかと思います。
そして、学校から退学だと言われる場合というのは、通常は、社会的にも良くないこと、すなわち違反行為をしたという場合であり、例えば、万引きをしてしまった、人を殴ってしまったという場合が考えられます。そして、そういう違反行為をしてしまった場合に、学校としては、このような違反行為をする者は生徒としてふさわしくないということで、停学にすることもありますし、場合によっては退学処分や自主退学勧告をすることがあるわけです。
しかし、この退学について、最高裁判所の判例というのがあり、簡単に言うと、学校からの退学というのは最後の手段ですので、その生徒さんを学校内に留め置くと学校の秩序が保てないという最終的な場合にやっと退学が認められる、という趣旨の判例があります。
確かに違反行為は悪いことではありますが、例えばその違反行為1回で退学にすることが良いことなのかどうかというのを、その違反行為の内容や性質、また、生徒の改善の可能性等を吟味する必要があります。
ですので、学校から、例えば退学と言われて、こういう違反行為がありましたと言われても、お子様からお話を詳細に聞いていただいて、確かに悪いことをしたんだけれども、お子様が非常に反省していて、また、違反行為自体は非常に軽微だという場合もありえますし、被害者がいる場合であっても被害者が許してくれていて示談ができる可能性がある場合もあります。そして、そういう場合にまで学校が退学にする必要はない、という争い方をすることが考えられます。
ですので、一概に、違反行為即退学というではわけではなく、日本の裁判所の実務としては、なかなか学校の秩序が保てないような場合にやっと退学が許されるというように考えられております。

退学に納得できない②
退学処分・自主退学勧告が重すぎる場合

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(3) では、学校から退学と言われ又は自主退学勧告がされた場合、どのように争っていくことになるのかをご説明致します。
まず、学校との話し合い(交渉)が考えられます。
前者の「違反行為に身に覚えがない」という場合には、なかなか学校との話し合いは難しいところがありますが、後者の「退学は重すぎる」という場合には、可能性としては低いかもしれませんが、学校との話し合いで学校に戻れる可能性もないわけではないと思います。
しかし、学校という組織においては、一度決めた処分を覆すことが難しいところがあるため、「違反行為に身に覚えがない」及び「退学は重すぎる」といういずれの場合においても、裁判になる可能性の方が高いと考えます。

そして、学校に戻りたいという裁判を行う場合には、「学生の地位を確認する裁判」が考えられます。
他方で、学校は戻らないで良い、でも、こんな不当な処分をする学校だったら、退学で構わないが、色々な苦痛を受けたから損害賠償を請求したいという損害賠償請求の裁判も考えられます。

前者の 「学校に戻りたい」という裁判については、通常の裁判をすると、日本の裁判は1年ぐらいかかります。日本の裁判の解決スピードは、実はよく報道されるのと異なり、世界的には非常に早い方なのですが(この点はマスコミ等の偏向報道があります)、それでも1年くらいはかかってしまうので、 そうすると、こういう学校関係の場合は1年の間にも子供さんも成長してしまいますし、カリキュラムも色々ありますし、通常の裁判だけを続けていては、お子様の不利益が大きいということになります。
そのため、復学を求める合には、通常の裁判の前に、まずは「仮処分」という裁判を行うことが多いかと思います。
この仮処分というのは何かというと、裁判所に、「暫定的に早く判断してください」という決定を求める裁判になります。
すなわち、通常の訴訟、それを本案訴訟という言い方をしますが、これはだいたい1カ月に1回裁判が開かれるのですが、仮処分の場合は、1週間又は2週間に1回という早いペースで裁判が開かれます。
弁護士の作業としては、本案訴訟も仮処分も同じ位の作業量となり、仮処分の方が時間的に余裕がないのですが、仮処分の場合は、そういう形で早く裁判が進みますので、うまくいけば、例えば仮処分の申立てをしから裁判所が決定を出すまで、1か月ぐらいで結論が出るという可能性もあります。
そのため、仮処分を利用すれば、例えば、裁判が夏休みといった長期の休みの間だけで終わる可能性もあります。そのため、一刻も早く仮処分を申し立てる、というのも一つの重要なポイントかと思います。

学校側との交渉について

ここで、改めて、裁判前に、学校側と交渉を行うことによって学校に戻るという方法についてご説明致します。

学校側は、生徒に対して退学・自主退学勧告といった処分を決定する前に、事前に生徒に対して聞き取り調査をすることがあります。
しかし、上述のとおり、学校の先生(教員)は、警察官等と異なり事実を調査する専門的能力を有していないのが通常ですので、学校の事実調査にはどうしても限界があります。
しかし、処分を急ぐあまり、教師・教員の思い込みによる調査や、複数の教師による生徒に対する長時間の密室での取り調べや、教師による正当に対する自白強要と言わざるを得ない行為が行われるケースもあります。また、学校の教師と生徒との力関係から、生徒が権威者である教師に対して、はっきりと事実を言うことができない場合があります。その結果、学校側が主張する誤った事実に従った、不当な処分がなされるおそれがあります。

そこで弁護士が生徒や保護者の方々に代わって、校長・教頭・担任教師と交渉し、事実を伝えることで不当な処分を避け、または不当な処分を撤回させることができることがあります。
しかし、上述のとおり、学校という組織においては、一度決めた処分を覆すことが難しいところがあるため、弊事務所の経験上は、交渉だけで解決できる可能性はあまり高くないと考えております。
そして、交渉してから裁判(仮処分)を行うと、交渉が成立しないことが明らかになるまでの時間が無駄になってしまい、一刻を争う退学問題ではお子様に大きな不利益が生じかねません。そのため、弊事務所では、交渉を行うにしても、同時に仮処分を申し立てることが望ましいと考えております。

学生の地位を有することの確認訴訟の提起

上述のとおり、日本の多くの裁判例において、退学処分・自主退学勧告は、学生の身分を剥奪する重大な措置であることから、当該学生に改善の見込みがなく、当該学生を学外に排除することが教育上やむを得ないと認められる場合に限って許されると解釈されております。すなわち、退学処分や自主退学処分は(両者は実質的に同じであると解釈されています)最後の手段ですので、その生徒を学校外に排除するしないと学校の秩序が保てない、といったような状況でなければ、退学や自主退学勧告はできないと考えられます。

しかし、実際には、学校側は、学校独自の校風、方針や調査を根拠に、安易に、生徒に対して退学処分・自主退学勧告を行う場合があります。

そのような場合に、弁護士が依頼者様を代理して、裁判所に対して、退学処分・自主退学勧告が無効であり、学校の生徒であることを確認する訴えを提起することができます。

「学生の地位を定める仮処分」の申立て

上述のとおり、学校の生徒であることの確認を正式な裁判で訴えた場合でも、判決が出るまでには時間がかかってしまいます。しかし退学処分を受けた生徒への教育・配慮からすれば一刻も早く学校へ戻ることが望ましいといえます。

そのため、退学処分・自主退学処分等を受けた場合には、早急に、学校の生徒であることの確認を求める、いわゆる「学生の地位を定める仮処分」の申立てを行うことが考えられます。仮処分は、正式な裁判よりも早いペースで審理が行われ、申し立てから2~4ヵ月で、裁判所により決定(「仮処分命令」といいます。いわゆる正式な裁判での判決にあたるものです。)が出される可能性があります。そして、この仮処分の申立が認められ、仮処分命令が出された場合、生徒は正式な裁判の結果を待たずに、仮の処分として、学校へ通うことができるようになります(もっとも、正式に学生としての地位が認められるかどうかは、別途正式な裁判が必要となるのが原則です)。

また、この仮処分を行うことにより、審理の過程で、裁判所を仲介して、学校側と和解によって問題が解決することもあります。このような場合には、正式な裁判を行うまでもなく、迅速に問題が解決されることになります。さらに、復学をする場合において、和解内容を工夫して成績や出欠等に不利益が出ないように図る等、スムーズに復学する支援も行っております。、

なお、この仮処分や前記の確認訴訟は、学校の自主退学勧告に従って退学届を出した後でも行うことができ、もとの学校に戻れる可能性があります。

学校問題についての裁判例のご紹介

①最高裁第二小法廷昭和49年7月19日判決(最高裁判所民事判例集28巻5号790頁、判例タイムズ313号153頁)

学校教育法第11条は、「校長及び教員は、教育上必要があると認めるときは、文部科学大臣の定めるところにより、児童、生徒及び学生に懲戒を加えることができる。ただし、体罰を加えることはできない。」と定めています。最高裁は、この条文の解釈について、退学処分が、他の懲戒処分と異なり、学生の身分を剥奪する重大な措置であることにかんがみ、当該学生に改善の見込みがなく、これを学外に排除することが教育上やむをえないと認められる場合にかぎって退学処分を選択すべきであるとの趣旨であるという解釈を行いました。すなわち、簡単にいえば、退学処分(自主退学勧告も含まれます)は最後の手段ですので、よほどでないと選択できません、という解釈を行ったものと考えられます。この判例の解釈が、退学及び自主退学勧告に対する裁判所の判断の基準となっているものと考えます(大阪高等裁判所平成7年10月24日判決、大阪地方裁判所平成20年9月25日判決も、この判決と同様の趣旨を述べています)。

②最高裁第二小法廷平成8年3月8日判決(最高裁判所民事判例集50巻3号469頁、判例タイムズ906号77頁)

市立高等専門学校において、信仰上の理由から、当該学校で必修とされていた剣道実技の履修を拒否した生徒が、2年続けて留年(原級留置)となり、当該学校の学則によって退学処分となってしまったという事案です。最高裁は、退学処分という不利益が極めて大きく、また、当該学校が代替措置を認めなかったことは考慮すべき事項を考慮していないといえることから、退学処分は校長の裁量権の範囲を超える違法なものであると判断しました。

③大阪高等裁判所平成7年10月24日判決(判例時報1561号34頁)

喫煙を理由として高校生が退学処分となったものの、当該退学処分は、校長の裁量の範囲を逸脱した違法があるとして、裁判所によって無効と判断された事例です。

④横浜地方裁判所小田原支部平成12年8月29日判決(判例時報1736号94頁)

私立高校での自主退学勧告の違法性が争われた事件において、裁判所は、「自主退学勧告は、退学処分ではないものの、その結果の重大性からして、退学処分に準ずる事由の存在する状況のもとにされるべきものと考えられる」としました。すなわち、この事案において、裁判所は、自主退学勧告は、生徒を校外に追いやるという点で、退学処分と変わりはないため、処分が校長の裁量の範囲内かどうかの検討は、退学処分に準じて考えるべきだ、という旨を述べたものと考えます。

⑤千葉地方裁判所昭和62年10月30日判決(判例時報1266号81頁)

当該事案における「自主退学勧告処分は実質上退学処分に準ずるものである以上、右処分についても原告に改善の見込みがなく、これを学外に排除することすることが社会通念からいって教育上やむをえないと認められる場合であったかどうかが吟味されなければならない。」と判断しました。すなわち、この事案においても、裁判所は、自主退学勧告は、生徒を校外に追いやるという点で、退学処分と変わりはないため、処分が校長の裁量の範囲内かどうかの検討は、退学処分に準じて考えるべきだ、という旨を述べたものと考えます。

⑥大阪地方裁判所平成20年9月25日判決(判例時報2057号120頁)

高等学校の生徒が、同級生に対する暴力行為を理由に退学処分を受けたものの、過去に当該生徒に対する懲戒処分がなく、暴力行為に対する指導歴がなく、出席日数も教育、指導を継続する上で著しい支障を生ずるものではなかっため、当該生徒に改善の見込みがなく、学外に排除することが教育上やむを得なかったものとまで評価することは著しく困難であるとして、当該生徒に対する退学処分が違法と判断され、学校に対する損害賠償請求が認められた事例です(精神的苦痛に対する慰謝料は100万円)。

セカンドオピニオン業務

一度他の専門家に相談したが、別の意見が欲しいという場合など、弊事務所では、セカンドオピニオン業務も行っております。「他の弁護士にすでに頼んでいるから相談するのは悪い」とお考えになる必要はございません。お気軽にご相談ください。

いじめ対策・学校事故の対応に関して

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