faq-p

皆様のご参考のために

ご相談のジャンルごとに、Q&A(質問と回答)をまとめました。皆様のご参考になりましたら幸いです。
• 学校からの退学処分などへの対応について
• いじめ事件の場合の損害賠償請求について
• 学校の部活動中での怪我への対応について


学校からの退学処分などへの対応について

子どもが学校から、自主退学しなければ退学処分となる、と迫られて自主退学してしまいましたが、どうすればいいでしょうか。

学校からの自主退学勧告は、退学処分と変わりないことから、退学処分もやむを得ないと思われる事情がなければ行うことはできないと解されます。しかし、時には、学校が、生徒に対し、十分な根拠がないままに自主退学の勧告を行い、生徒もよく考える時間も与えられず退学届を出してしまうということがあります。

このような自主退学の勧告は違法なものであるとして、学校に対して自主退学の撤回の交渉、学生としての地位保全の仮処分の申立て、学生としての地位を有することを確認する訴訟の提起をすることが考えられます。

 

いじめ事件の場合の損害賠償請求について

子どもが学校で「いじめ」に遭い、同級生から殴られて大怪我をしました。医師からは、後遺症も残るかもしれないと言われています。この場合、誰に、どのような金額を請求できるのでしょうか。

まず、暴力を行って怪我をさせた生徒自身は、不法行為に基づく損害賠償義務(民法第709条)を負うのが原則です。

しかし、子供である生徒自身には、損害賠償金を支払う財産・資力がないのが通常です。
また、民法712条では、「未成年者は、他人に損害を加えた場合において、自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったときは、その行為について賠償の責任を負わない。」と規定されており、ここで、「自己の行為の責任を弁識するに足りる知能」が備わっていないという年齢は、裁判例では明確にはされておりませんが、例えば6歳、7歳という年齢では、当該知能は備わっていないという可能性が高いと思われます。

そこで、不法行為を行った生徒の親権者など、その生徒を監督する義務を負う者に対して損害賠償請求を行うことも必要となります。
そして、民法714条1項は、「前二条の規定により責任無能力者がその責任を負わない場合において、その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、その責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、監督義務者がその義務を怠らなかったとき、又はその義務を怠らなくても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。」と規定し、また、同2項は、「監督義務者に代わって責任無能力者を監督する者も、前項の責任を負う。」と規定しています。

なお、暴力を行った生徒が17歳程度になっているなど、「自己の行為の責任を弁識するに足りる知能」が備わっている場合には、民法714条1項によっては、その監督義務者に対して損害賠償請求を行うことができないことになりますが、民法709条によって、監督義務者に対する損害賠償請求が認められる可能性があります。

また、学校側に安全配慮義務違反等の義務違反があった場合には、学校側(公立学校であれば行政機関、私立学校であれば学校法人)に対する損害賠償請求が認められる可能性があります。
裁判所によって損害賠償請求が認められる場合に、どのような損害や金額が認められるか、については、通常は、交通事故事件で用いられている基準が使用されております。

なお、損害賠償請求については、一定期間を過ぎると請求ができなくなるという「消滅時効」の問題があります。
しかし、一般に言われている不法行為の損害賠償請求の消滅時効期間である「被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間」(民法724条)については、事件によっては事件発生から3年を超えても請求できることがあり、また、事件によっては不法行為に基づく損害賠償請求ではなく、消滅時効期間が10年となる債務不履行に基づく損害賠償請求を行うことができますので、期間が経過してご不安な場合は、この点も弁護士に相談されることをお勧めいたします。

以下に、損害賠償請求において考えられる損害額の例をご紹介します。

損害賠償請求において考えられる損害額の例

治療費

入院・通院された場合の治療費です。ここでは、いわゆる西洋医学ではない治療(柔道整復師の先生による治療、マッサージ、温泉治療、針治療等)の費用が含まれるかどうかが問題となることがあります。加害者側が保険に入っており、保険会社が治療費を支払う場合でも、保険会社がこうした西洋医学ではない治療の費用を払うのかどうか、保険会社によく確認する必要があります(もっとも、自治体によっては、ある年齢以下の子どもの治療費負担がないことがあります)。

付添看護費

職業付添人の方や近親者付添人の方の付添看護費用が、損害として認められることがあります。
また、将来の介護費が認められることもあります。

入院雑費

例えば、「入院1日につき1500円」というように、一定額の基準で認められることがあります。

通院交通費

原則としては公共交通機関の費用となりますが、場合によっては、タクシー代が認められることもあります。

休業損害

学生の場合には原則として認められませんが、収入があれば認められる可能性があります。また、怪我によって留年し、就職が遅れたこと等による損害が認められる可能性もあります。

入院・通院の慰謝料

入院期間、通院期間によって、一定の基準に従って計算されることが一般的です。なお、この部分は、一般に、加害者側の保険会社の基準が、裁判所の基準より低いため、慎重に検討する必要があると考えます。

死亡・後遺障害による逸失利益

亡くなられた場合や、後遺障害によって、本来得られたはずであるのに、得られなくなってしまった将来の収入分を損害として認めるものです。ご職業や、後遺障害の程度によって、認められる金額に違いがあります。この部分も、一般に、加害者側の保険会社の基準が、裁判所の基準より低いため、慎重に検討する必要があると考えます。

死亡・後遺障害による慰謝料

上記の入院・通院による慰謝料とは別に、亡くなられたこと又は後遺障害を受けたこと自体によっても、慰謝料が発生します。上記の入院・通院による慰謝料とは別個に請求することができます。この部分も、一般に、加害者側の保険会社の基準が、裁判所の基準より低いため、慎重に検討する必要があると考えます。

物損

加害者の不法行為によって持ち物が壊された等、財産上の損害があった場合、その損害の賠償を求めることができます。

弁護士費用

損害賠償請求事件の裁判では、弁護士費用の一部として、損害額のおおむね一割程度の請求が認められることがあります(予め弁護士費用を加害者が支払うという意味ではありません。また、弁護士費用全額が認められるものではありません。)

 

学校の部活動中の怪我への対応について

子どもが高校のサッカー部の練習中に、怪我をし、入院しました。学校に責任はないのですか。

学校の責任を追及する方法としては、①債務不履行に基づく損害賠償請求、又は、②不法行為に基づく損害賠償請求があります。また、公立学校の場合には行政機関に対し、私立学校の場合には学校法人に請求することになります。

そして、部活動中の事故だと、部活動の顧問教諭等に「安全配慮義務違反」があったかどうかという点が、学校の責任を検討するうえで重要なポイントになってきます。
学校のクラブ活動には、「必修活動」と、生徒の自主的活動である「課外活動」(いわゆる部活動)がありますが、裁判例上、「課外活動」中であっても、顧問教諭の安全配慮義務違反は、学校の責任になるとされています。

顧問教諭の「安全配慮義務」の内容として、以下のようなものがあります。

  • • 生徒の健康状態・能力把握義務
  • • 指導監督義務
  • • 練習計画策定義務
  • • 立ち合い・監視義務 など

一例として、クラブ活動の性質・危険性の程度、生徒の年齢や技量等の様々な要素を総合的に考えて、何らかの危険が予見されていたにもかかわらず、顧問教諭等が具体的な指示・注意を与えるなどして危険の発生を防止すべき具体的注意義務を怠った場合には、安全配慮義務違反があったと言え、学校に責任が問うことができるとされています。

ご質問のように、サッカーは身体的に危険が及ぶ可能性のあるスポーツですし、練習内容や顧問教諭の指示方法などを具体的に検討し、安全配慮義務違反が認められれば、学校に対して、損害賠償請求ができることになると考えられます。

さいたま地方裁判所川越支部 平成28年12月22日判決(判例時報2338号61頁)

いじめについて、公立中学校の教員らの安全配慮義務違反が認められ、被告である市の1億円以上の国家賠償責任が認められた事件。

名古屋地方裁判所一宮支部 平成25年9月25日判決(判例秘書登載)

いじめについて、市立中学校の教諭らが、いじめ発生の防止措置をとる義務を怠ったものとして、被告である市の国家賠償法1条1項に基づく損害賠償義務及び債務不履行に基づく損害賠償義務が認められた事件。

 

学校問題ページへ ▸