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皆様のご参考のために

ご相談のジャンルごとに、Q&A(質問と回答)をまとめました。皆様のご参考になりましたら幸いです。
• 学校からの退学処分などへの対応について(違法な退学処分の取り消し、無効等)
• いじめ問題の対応について(いじめの防止、損害賠償請求等)
• 学校の部活動中での怪我への対応について(損害賠償請求等)
• 教職員(教員)等の不適切な行為(体罰、スクールセクハラ等)の対応について(防止、損害賠償請求等)

 

 

学校からの退学処分などへの対応について(違法な退学処分の取り消し、無効による復学、損害賠償請求等)

子どもが学校で問題を起こし、学校から、「自主退学しなければ退学処分となる。すぐに退学届を出してくれたら、次の学校にスムーズに行けるようになる。」と言われ、退学届を提出して、自主退学しましたが、どうしても納得いきません。どうすればいいでしょうか。退学処分や退学届を取り消したり、無効にして、学校に戻ることはできるのでしょうか?

学校からの自主退学勧告は、退学処分と変わりないことから、退学処分もやむを得ないと思われる事情がなければ行うことはできないと解されます。しかし、時には、学校が、生徒及び保護者に対し、十分な根拠がないままに自主退学勧告を行い、しかも、「すぐ退学届を出してくれたら次の学校にスムーズに行けるようになる」などと述べて、生徒と保護者がよく考える時間を与えられず、退学届を出してしまうということがあります。

このような自主退学の勧告は違法なものであるとして、学校に対して自主退学の撤回の交渉、学生としての地位保全の仮処分の申立て、学生としての地位を有することを確認する訴訟の提起をすることが考えられます。

また、退学した学校には戻らず(すなわち復学せず)、私立学校を運営する学校法人や、公立学校を運営する政府・地方公共団体に対し、損害賠償請求を行うことも考えられます。

 

いじめ事件の対応について(いじめの防止、損害賠償請求等)

子どもが学校で「いじめ」に遭い、同級生から殴られて大怪我をしました。医師からは、後遺症も残るかもしれないと言われています。この場合、誰に、どのような金額を請求できるのでしょうか。また、子どもに対するいじめを防止できるのでしょうか。

まず、弁護士が、例えば、いじめを行っている生徒(加害者)の保護者に対して連絡を行うことにより、それ以上のいじめが行われることを防ぐことができる可能性があります。反対に、何もアクションを起こさないと、陰湿ないじめが継続してしまうかもしれません。

次に、暴力を行って怪我をさせた生徒(加害者)自身は、不法行為に基づく損害賠償義務(民法第709条)を負うのが原則です。

しかし、未成年者である生徒自身には、損害賠償金を支払う財産・資力がないのが通常です。
また、民法712条では、「未成年者は、他人に損害を加えた場合において、自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったときは、その行為について賠償の責任を負わない。」と規定されており、ここで、「自己の行為の責任を弁識するに足りる知能」が備わっていないという年齢は、裁判例では明確にはされておりませんが、例えば6歳、7歳という年齢では、当該知能は備わっていないという可能性が高いと思われます。

そこで、不法行為を行った生徒の親権者など、その生徒を監督する義務を負う者に対して損害賠償請求を行うことも必要となります。
そして、民法714条1項は、「前二条の規定により責任無能力者がその責任を負わない場合において、その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、その責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、監督義務者がその義務を怠らなかったとき、又はその義務を怠らなくても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。」と規定し、また、同2項は、「監督義務者に代わって責任無能力者を監督する者も、前項の責任を負う。」と規定しています。

なお、暴力を行った生徒が17歳程度になっているなど、「自己の行為の責任を弁識するに足りる知能」が備わっている場合には、民法714条1項によっては、その監督義務者に対して損害賠償請求を行うことができないことになりますが、民法709条によって、監督義務者に対する損害賠償請求が認められる可能性があります。

また、学校側に安全配慮義務違反等の義務違反があった場合には、学校側(私立学校や国立大学法人であれば学校法人、その他の公立学校であれば政府や地方公共団体※)に対する損害賠償請求が認められる可能性があります。
どのような場合に学校側に安全配慮義務違反が認められるか、については、①学校側がその対象となるいじめ行為の発生を予見できたかどうか(予見可能性。たとえば、以前から加害生徒による被害生徒に対するいじめ行為が行われており、被害生徒の保護者が学校にそれを伝えるなどして、教職員がいじめ行為が行われていることを知っていた場合などには、予見可能性があったことになる可能性が高いと考えます。)、及び②学校側がいじめ行為を防止するための措置を行ったかどうか(結果回避義務違反があったか。たとえば、学校側にいじめ行為の予見可能性があったのに、学校側が生徒に対する聴き取り調査を何ら行わなかったり、加害生徒に対する注意指導を行わなかった場合などには、結果回避義務違反があったことになる可能性が高いと考えます。)、という2つの点から検討されるものと考えます。

※国家賠償法(抜粋)
第1条第1項「国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。」
第2条第1項「道路、河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があつたために他人に損害を生じたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責に任ずる。」

 

裁判所によって損害賠償請求が認められる場合に、どのような損害や金額が認められるか、については、通常は、交通事故事件で用いられている基準が使用されております(詳細は後述致します)。

なお、損害賠償請求については、一定期間を過ぎると請求ができなくなるという「消滅時効」の問題があります。
しかし、一般に言われている不法行為の損害賠償請求の消滅時効期間である「被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間」(民法724条)については、事件によっては事件発生から3年を超えても請求できることがあり、また、事件によっては不法行為に基づく損害賠償請求ではなく、消滅時効期間が10年となる債務不履行に基づく損害賠償請求を行うことができますので、期間が経過してご不安な場合は、この点も弁護士に相談されることをお勧めいたします。

以下に、損害賠償請求において考えられる損害額の例をご紹介します。

損害賠償請求において考えられる損害額の例

治療費

入院・通院された場合の治療費です。ここでは、いわゆる西洋医学ではない治療(柔道整復師の先生による治療、マッサージ、温泉治療、針治療等)の費用が含まれるかどうかが問題となることがあります。加害者側が保険に入っており、保険会社が治療費を支払う場合でも、保険会社がこうした西洋医学ではない治療の費用を払うのかどうか、保険会社によく確認する必要があります(もっとも、自治体によっては、ある年齢以下の子どもの治療費負担がないことがあります)。

付添看護費

職業付添人の方や近親者付添人の方の付添看護費用が、損害として認められることがあります。
また、将来の介護費が認められることもあります。

入院雑費

例えば、「入院1日につき1500円」というように、一定額の基準で認められることがあります。

通院交通費

原則としては公共交通機関の費用となりますが、場合によっては、タクシー代が認められることもあります。

休業損害

学生の場合には原則として認められませんが、収入があれば認められる可能性があります。また、怪我によって留年し、就職が遅れたこと等による損害が認められる可能性もあります。

入院・通院の慰謝料

入院期間、通院期間によって、一定の基準に従って計算されることが一般的です。なお、この部分は、一般に、加害者側の保険会社の基準が、裁判所の基準より低いため、慎重に検討する必要があると考えます。

死亡・後遺障害による逸失利益

亡くなられた場合や、怪我や精神的な疾患による後遺障害によって、本来得られたはずであるのに、得られなくなってしまった将来の収入分を損害として認めるものです。ご職業や、後遺障害の程度によって、認められる金額に違いがあります。この部分も、一般に、加害者側の保険会社の基準が、裁判所の基準より低いため、慎重に検討する必要があると考えます。

死亡・後遺障害による慰謝料

上記の入院・通院による慰謝料とは別に、亡くなられたこと又は後遺障害を受けたこと自体によっても、慰謝料が発生します。上記の入院・通院による慰謝料とは別個に請求することができます。この部分も、一般に、加害者側の保険会社の基準が、裁判所の基準より低いため、慎重に検討する必要があると考えます。

物損

加害者の不法行為によって持ち物が壊された等、財産上の損害があった場合、その損害の賠償を求めることができます。

弁護士費用

損害賠償請求事件の裁判では、弁護士費用の一部として、損害額のおおむね一割程度の請求が認められることがあります(予め弁護士費用を加害者が支払うという意味ではありません。また、弁護士費用全額が認められるものではありません。)

 

さいたま地方裁判所川越支部 平成28年12月22日判決(判例時報2338号61頁)

いじめについて、公立中学校の教員らの安全配慮義務違反が認められ、被告である市の1億円以上の国家賠償責任が認められた事件。

 

学校の部活動中の怪我への対応について

子どもが高校のサッカー部の練習中に、怪我をし、入院しました。学校に責任はないのですか。

学校の責任を追及する方法としては、①債務不履行に基づく損害賠償請求、又は、②不法行為に基づく損害賠償請求があります。また、公立学校の場合には国又は地方公共団体等に対して請求し、私立学校の場合には主に学校法人に請求することになります。

そして、部活動中の事故だと、部活動の顧問教諭等に「安全配慮義務違反」があったかどうかという点が、学校の責任を検討するうえで重要なポイントになってきます。
学校のクラブ活動には、「必修活動」と、生徒の自主的活動である「課外活動」(いわゆる部活動)がありますが、裁判例上、「課外活動」中であっても、顧問教諭の安全配慮義務違反は、学校の責任になるとされています。

顧問教諭の「安全配慮義務」の内容として、以下のようなものがあります。

  •  生徒の健康状態・能力把握義務
  •  指導監督義務
  •  練習計画策定義務
  •  立ち合い・監視義務 など

一例として、クラブ活動の性質・危険性の程度、生徒の年齢や技量等の様々な要素を総合的に考えて、何らかの危険が予見されていたにもかかわらず、顧問教諭等が具体的な指示・注意を与えるなどして危険の発生を防止すべき具体的注意義務を怠った場合には、安全配慮義務違反があったと言え、学校に責任が問うことができるとされています。

ご質問のように、サッカーは身体的に危険が及ぶ可能性のあるスポーツですし、練習内容や顧問教諭の指示方法などを具体的に検討し、安全配慮義務違反が認められれば、学校に対して、損害賠償請求ができることになると考えられます。

大阪高等裁判所平成29年12月15日判決(判例時報2370号54頁)

公立高校の器械体操部に所属していた生徒が、部活動の練習中に鉄棒から落下し頚部を負傷した事故について、国家賠償法1条1項に基づく約2億円の損害賠償請求が認められた事件。当該事件では、大阪府教育委員会委嘱に係る外部指導者であったコーチには、当該生徒が負傷しないよう、自ら補助者として鉄棒下の適切な位置に立つべき注意義務があることが認められました。

 

教職員(教員)等の不適切な行為(体罰、スクールセクハラ等)の対応について

学校内におけるセクハラ(セクシャル・ハラスメント、スクールセクハラ)とは、主に、相手方の意に反する性的な言動と理解されますが、こうしたセクハラ行為は、相手方の意に反するものである以上、当然違法となる可能性が高く、違法なセクハラ行為の被害者の方は、損害賠償請求を行うことができることになります。
また、セクハラ行為の程度が、青少年(原則として18歳未満の者)に対する「いん行又はわいせつ」となれば、各地の条例において禁止されており、「2年以下の懲役又は100万円以下の罰金」等といった刑罰の対象となっております。
また、セクハラ行為の程度が「強制わいせつ」(13歳以上の者に対し暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をしたこと、又は、13歳未満の者に対しわいせつな行為をしたこと)となれば、6月以上10年以下の懲役という刑罰の対象となっております(刑法第176条)。

また、校長及び教員による生徒に対する体罰は、学校教育法第11条但書で明確に禁止されております。
また、体罰は、場合によっては、暴行罪(刑法208条:2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料という刑罰)、傷害罪(刑法204条:15年以下の懲役又は50万円以下の罰金)、傷害致死(刑法205条:3年以上の有期懲役)となる可能性もあると考えます。
また、教職員の違法な体罰によって心身に傷害を受けた被害者の方は、損害賠償請求を行うことができることになります。

 

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