学校問題2でお悩みの方へ
弊事務所では、学校等でのいじめ問題に対し、積極的に対応しております。
学校等でのいじめは、放置するとエスカレートし、重大な被害を生じかねません。そこで、弁護士が介入することで、いじめをストップできる可能性があり、また、弁護士のアドバイスによって適切な証拠を確保することにより、損害賠償等によっていじめ問題の抜本的な解決につながる可能性もございます。
そして、弊事務所では、お子様が通われている学校でのいじめ対策・学校事故の対応について、所属弁護士が、裁判例の傾向の把握、適切な証拠の確保、学校との交渉・裁判・仮処分などにより、迅速に問題の解決を図ります。弊事務所は、東京と福岡に拠点を持ち、電話やオンラインも利用して全国対応しております。お気軽にご相談ください。
なお、いじめ問題、退学問題のほかにも、弊事務所では、学校問題に対する総合的な対応として、以下の業務にも対応しております。
- 学校で教職員(教員)から体罰を受けて大怪我をしたので、学校や教職員等に対して損害賠償請求をしたい(学校教育法第11条但書は、学校の校長及び教員が、児童、生徒及び学生に体罰を加えることを禁止しています)
- 学校との協議に弁護士に同席してほしい。
- 学校の部活動やスポーツで大怪我をしたので、学校や教員等に対して損害賠償請求をしたい。
- 学校の教職員(教員)又は同僚(上司)からセクハラを受けた(スクールセクハラ問題)。
- 法教育、学校関係者様からのご相談、スクールロイヤーとしての対応など
いじめ事件の対応について(いじめの防止、損害賠償請求等)
子どもが学校で「いじめ」に遭っているようです。どうしたら、子どもに対するいじめを防止できるのでしょうか。
まず、弁護士が、例えば、いじめを行っている生徒(加害者)の保護者に対して連絡を行うことにより、それ以上のいじめが行われることを防ぐことができる可能性があります。反対に、何もアクションを起こさないと、陰湿ないじめが継続してしまうかもしれません。
いじめを止めさせるために、まず、1つ目に大事なことは、事実を確認することです。
学校で行われていることは、お子様ご本人が一番良く知っています。
そこで、お子様からよく話を聞くことが大切と思います。
もっとも、お子様は、いじめられているとしても、親に心配かけたくないとか、いじめられていると言うと恥ずかしいとか、だらしないと言われると考えて、あまり話したがらないこともあります。
また、いじめというのは言ってみれば犯罪行為やそれに近いと言ってよいものですので、それを話すというのは、お子様にとっても非常に悔しいものです。
しかし、じっくりお話を聞けるのは近しい方しかおりませんので、お子様の味方だという立場で、じっくりとお話を聞いていただき、何が起こっているのかを確認していただきたいと思います。
そして、2つ目としては、確認した事実である「いじめ」を証明するための証拠を確保する、ということです。
証拠の取り方としては、学校で行われていることについては、例えばお子様にICレコーダーやスマートフォンを持たせて、学校での様子を録音、録画してもらうことが考えられます。
また、お子様のお友達からお話を聞いて証言をもらったり、場合によっては校内アンケートを行うということもあります。
さらに、最近はLINEいじめといったような、携帯電話を使ったいじめもありますので、それについては、お友達からLINEの画面のスクリーンショットをとってもらうことも考えられます。
また、学校に相談するということもえられますし、学校が調査して、いじめの事実を確認して、加害生徒を処分してくれることもあります。
しかし、学校の先生というのは人を教える専門家であって、警察官ではなく、事実の調査の専門家ではありませんので、学校としては、いじめの訴えがあった場合、双方を呼び出して話を聞いて、加害者が「自分はやってないです」と言ったら、それ以上追及できないということもあります。
しかも、学校は、いじめの調査をした事実を、「教育問題」という理由でなかなか開示しないということがあります。
ですので、可能であれば、学校に相談する前に、なるべく証拠を取ることを検討する必要があるかと思います。
なお、証拠の取り方というのは専門知識も必要になることがありますので、いじめが疑われる段階で、なるべく早く弁護士に相談していただくことも重要かと思います。
3つ目は、いじめを止めさせるための「弁護士による通知」です。
証拠を確保した上で、弁護士から、①加害生徒の保護者に対し「いじめをやめなさい」ということを通知する、又は②学校に対し、「いじめをやめさせなさい」ということを通知することが考えられます。
また、今行われているいじめを一刻でも早く止めたいということであれば、証拠がない段階でも、弁護士によっていじめをやめるよう通知する、というのも1つの方法です。
そして、証拠があれば、最終的には、加害生徒の保護者(親権者)や、いじめを知って放置している学校側に対し、損害賠償請求訴訟を起こすということが考えられます。
もっとも、加害生徒の保護者に対して弁護士からの通知、又は、訴訟を提起するには、その加害生徒の身元(氏名・住所)を把握する必要があります。最近は、生徒間の個人情報を共有させない学校も多いため、この点はどのように解決するか、弁護士に相談していただく必要があると考えます。
子どもが学校で「いじめ」に遭い、同級生から殴られて大怪我をしました。医師からは、後遺症も残るかもしれないと言われています。この場合、誰に、どのような金額を請求できるのでしょうか。
暴力を行って怪我をさせた生徒(加害者)自身は、不法行為に基づく損害賠償義務(民法第709条)を負うのが原則です。
しかし、未成年者である生徒自身には、損害賠償金を支払う財産・資力がないのが通常です。
また、民法712条では、「未成年者は、他人に損害を加えた場合において、自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったときは、その行為について賠償の責任を負わない。」と規定されており、ここで、「自己の行為の責任を弁識するに足りる知能」が備わっていないという年齢は、裁判例では明確にはされておりませんが、例えば6歳、7歳という年齢では、当該知能は備わっていないという可能性が高いと思われます。
そこで、不法行為を行った生徒の親権者など、その生徒を監督する義務を負う者に対して損害賠償請求を行うことも必要となります。
そして、民法714条1項は、「前二条の規定により責任無能力者がその責任を負わない場合において、その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、その責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、監督義務者がその義務を怠らなかったとき、又はその義務を怠らなくても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。」と規定し、また、同2項は、「監督義務者に代わって責任無能力者を監督する者も、前項の責任を負う。」と規定しています。
なお、暴力を行った生徒が17歳程度になっているなど、「自己の行為の責任を弁識するに足りる知能」が備わっている場合には、民法714条1項によっては、その監督義務者に対して損害賠償請求を行うことができないことになりますが、民法709条によって、監督義務者に対する損害賠償請求が認められる可能性があります。
また、学校側に安全配慮義務違反等の義務違反があった場合には、学校側(私立学校や国立大学法人であれば学校法人、その他の公立学校であれば政府や地方公共団体※)に対する損害賠償請求が認められる可能性があります。
どのような場合に学校側に安全配慮義務違反が認められるか、については、①学校側がその対象となるいじめ行為の発生を予見できたかどうか(予見可能性。たとえば、以前から加害生徒による被害生徒に対するいじめ行為が行われており、被害生徒の保護者が学校にそれを伝えるなどして、教職員がいじめ行為が行われていることを知っていた場合などには、予見可能性があったことになる可能性が高いと考えます。)、及び②学校側がいじめ行為を防止するための措置を行ったかどうか(結果回避義務違反があったか。たとえば、学校側にいじめ行為の予見可能性があったのに、学校側が生徒に対する聴き取り調査を何ら行わなかったり、加害生徒に対する注意指導を行わなかった場合などには、結果回避義務違反があったことになる可能性が高いと考えます。)、という2つの点から検討されるものと考えます。
※国家賠償法(抜粋)
第1条第1項「国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。」
第2条第1項「道路、河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があつたために他人に損害を生じたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責に任ずる。」
裁判所によって損害賠償請求が認められる場合に、どのような損害や金額が認められるか、については、通常は、交通事故事件で用いられている基準が使用されております(詳細は後述致します)。
なお、損害賠償請求については、一定期間を過ぎると請求ができなくなるという「消滅時効」の問題があります。
しかし、一般に言われている不法行為の損害賠償請求の消滅時効期間である「被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間」(民法724条)については、事件によっては事件発生から3年を超えても請求できることがあり、また、事件によっては不法行為に基づく損害賠償請求ではなく、消滅時効期間が10年となる債務不履行に基づく損害賠償請求を行うことができますので、期間が経過してご不安な場合は、この点も弁護士に相談されることをお勧めいたします。
以下に、損害賠償請求において考えられる損害額の例をご紹介します。
損害賠償請求において考えられる損害額の例
治療費
入院・通院された場合の治療費です。ここでは、いわゆる西洋医学ではない治療(柔道整復師の先生による治療、マッサージ、温泉治療、針治療等)の費用が含まれるかどうかが問題となることがあります。加害者側が保険に入っており、保険会社が治療費を支払う場合でも、保険会社がこうした西洋医学ではない治療の費用を払うのかどうか、保険会社によく確認する必要があります(もっとも、自治体によっては、ある年齢以下の子どもの治療費負担がないことがあります)。
付添看護費
職業付添人の方や近親者付添人の方の付添看護費用が、損害として認められることがあります。
また、将来の介護費が認められることもあります。
入院雑費
例えば、「入院1日につき1,500円」というように、一定額の基準で認められることがあります。
通院交通費
原則としては公共交通機関の費用となりますが、場合によっては、タクシー代が認められることもあります。
休業損害
学生の場合には原則として認められませんが、収入があれば認められる可能性があります。また、怪我によって留年し、就職が遅れたこと等による損害が認められる可能性もあります。
入院・通院の慰謝料
入院期間、通院期間によって、一定の基準に従って計算されることが一般的です。なお、この部分は、一般に、加害者側の保険会社の基準が、裁判所の基準より低いため、慎重に検討する必要があると考えます。
死亡・後遺障害による逸失利益
亡くなられた場合や、怪我や精神的な疾患による後遺障害によって、本来得られたはずであるのに、得られなくなってしまった将来の収入分を損害として認めるものです。ご職業や、後遺障害の程度によって、認められる金額に違いがあります。この部分も、一般に、加害者側の保険会社の基準が、裁判所の基準より低いため、慎重に検討する必要があると考えます。
死亡・後遺障害による慰謝料
上記の入院・通院による慰謝料とは別に、亡くなられたこと又は後遺障害を受けたこと自体によっても、慰謝料が発生します。上記の入院・通院による慰謝料とは別個に請求することができます。この部分も、一般に、加害者側の保険会社の基準が、裁判所の基準より低いため、慎重に検討する必要があると考えます。
物損
加害者の不法行為によって持ち物が壊された等、財産上の損害があった場合、その損害の賠償を求めることができます。
弁護士費用
損害賠償請求事件の裁判では、弁護士費用の一部として、損害額のおおむね一割程度の請求が認められることがあります(予め弁護士費用を加害者が支払うという意味ではありません。また、弁護士費用全額が認められるものではありません。)
さいたま地方裁判所川越支部 平成28年12月22日判決(判例時報2338号61頁)
いじめについて、公立中学校の教員らの安全配慮義務違反が認められ、被告である市の1億円以上の国家賠償責任が認められた事件。
学校の部活動中の怪我への対応について
子どもが高校のサッカー部の練習中に、怪我をし、入院しました。学校に責任はないのですか。
学校の責任を追及する方法としては、①債務不履行に基づく損害賠償請求、又は、②不法行為に基づく損害賠償請求があります。また、公立学校の場合には国又は地方公共団体等に対して請求し、私立学校の場合には主に学校法人に請求することになります。
そして、部活動中の事故だと、部活動の顧問教諭等に「安全配慮義務違反」があったかどうかという点が、学校の責任を検討するうえで重要なポイントになってきます。
学校のクラブ活動には、「必修活動」と、生徒の自主的活動である「課外活動」(いわゆる部活動)がありますが、裁判例上、「課外活動」中であっても、顧問教諭の安全配慮義務違反は、学校の責任になるとされています。
顧問教諭の「安全配慮義務」の内容として、以下のようなものがあります。
- 生徒の健康状態・能力把握義務
- 指導監督義務
- 練習計画策定義務
- 立ち合い・監視義務 など
一例として、クラブ活動の性質・危険性の程度、生徒の年齢や技量等の様々な要素を総合的に考えて、何らかの危険が予見されていたにもかかわらず、顧問教諭等が具体的な指示・注意を与えるなどして危険の発生を防止すべき具体的注意義務を怠った場合には、安全配慮義務違反があったと言え、学校に責任が問うことができるとされています。
ご質問のように、サッカーは身体的に危険が及ぶ可能性のあるスポーツですし、練習内容や顧問教諭の指示方法などを具体的に検討し、安全配慮義務違反が認められれば、学校に対して、損害賠償請求ができることになると考えられます。
大阪高等裁判所平成29年12月15日判決(判例時報2370号54頁)
公立高校の器械体操部に所属していた生徒が、部活動の練習中に鉄棒から落下し頚部を負傷した事故について、国家賠償法1条1項に基づく約2億円の損害賠償請求が認められた事件。当該事件では、大阪府教育委員会委嘱に係る外部指導者であったコーチには、当該生徒が負傷しないよう、自ら補助者として鉄棒下の適切な位置に立つべき注意義務があることが認められました。
教職員(教員)等の不適切な行為(体罰、スクールセクハラ等)の対応について
学校内におけるセクハラ(セクシャル・ハラスメント、スクールセクハラ)とは、主に、相手方の意に反する性的な言動と理解されますが、こうしたセクハラ行為は、相手方の意に反するものである以上、当然違法となる可能性が高く、違法なセクハラ行為の被害者の方は、損害賠償請求を行うことができることになります。
また、セクハラ行為の程度が、青少年(原則として18歳未満の者)に対する「いん行又はわいせつ」となれば、各地の条例において禁止されており、「2年以下の懲役又は100万円以下の罰金」等といった刑罰の対象となっております。
また、セクハラ行為の程度が「不同意わいせつ」(16歳以上の者に対し暴行又は脅迫等によって同意しない意思を形成させる等して、わいせつな行為をしたこと、又は、原則として16歳未満の者に対しわいせつな行為をしたこと)となれば、6月以上10年以下の懲役という刑罰の対象となっております(刑法第176条)。
また、校長及び教員による生徒に対する体罰は、学校教育法第11条但書で明確に禁止されております。
また、体罰は、場合によっては、暴行罪(刑法208条:2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料という刑罰)、傷害罪(刑法204条:15年以下の懲役又は50万円以下の罰金)、傷害致死(刑法205条:3年以上の有期懲役)となる可能性もあると考えます。
また、教職員の違法な体罰によって心身に傷害を受けた被害者の方は、損害賠償請求を行うことができることになります。
退学・自主退学勧告の取消しに関して
退学・自主退学勧告の取消しに関しては、こちらよりご覧ください。皆様のご参考になりましたら幸いです。