離婚問題でお悩みの方へ

離婚でお悩みの方を弁護士がサポートします。離婚の可否、慰謝料、不貞・不倫、家庭内暴力(DV)、財産分与、親権・面会交流(面接交渉)、養育費(婚姻費用)・連れ去りに関するお悩みのほか、調停や裁判などのご相談もお受けします。弊事務所は、東京と福岡に拠点を持ち、電話やオンラインも利用して全国対応しております。是非お気軽にご相談ください。

離婚時に検討すべき問題について

離婚をしようと思われた時は、大まかに申し上げますと、①離婚できるかどうかという問題、②お金の問題、③お子様の問題、という3つのことをご検討いただくことになります。

離婚で大事な3つのこと

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本ページの目次(ご覧になりたい項目をクリックしてください。)

第1 「離婚できるかどうか」という問題について

第2 慰謝料・財産分与などのお金の問題について

1. 慰謝料について

2. 財産分与について

(1) 財産分与の「2分の1ルール」について

(2)「会社の株式」や「医療法人の出資持分」の財産分与について

第3 お子様の問題について

1. 親権とは

2. 親権の判断基準

3. 面会交流について

4. 養育費と婚姻費用について

5. お子様が連れ去られた場合について(日本国内:監護者指定・子の引渡・審判前保全処分)

6. ハーグ条約(国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約)について

7. 離婚後の共同親権について

第4 離婚の方法(離婚のための手続)について

第5 セカンドオピニオン業務

第6 離婚に関するQ&A(質問と回答)

 

第1 「離婚できるかどうか」という問題について

夫婦間の仲違い

離婚はご夫婦の一方が希望すればいつでもできるものではなく、原則として、ご夫婦双方が離婚に同意する必要があります。

しかし、ご夫婦の一方が同意しない状況で離婚したい場合は、まず、裁判所に調停を申し立てる必要があります。調停というのは、裁判所が間に入った話し合いですが、あくまでも話し合いなので、相手が同意しない場合は、さらに正式な裁判(訴訟)を起こす必要があります。

正式な裁判では、離婚の原因があるかどうかが審理されます。原因として分かりやすいところでは、浮気(不倫・不貞)、生活費を全く払わないで家に帰らない、暴力・暴言(モラハラ含む)、重い精神疾患などがありますが、そのほか、別居期間が長い場合などにも認められる可能性があります。裁判で勝つには、証拠が必要ですので、たとえば、浮気や暴力の証拠などは確保しておく必要があります。弁護士にご相談いただけましたら、証拠についてもアドバイスいたします。

例えば、不倫(不貞)の証明方法につきましては、下記の動画「不倫、どうやって証明する?」の動画及びテキストをご覧ください。

離婚の理由となる不倫の証明方法

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第2 慰謝料・財産分与などのお金の問題について

財産分与

 

1.慰謝料について
慰謝料は、離婚の原因となるような悪いことをした方が払います。典型的なものは浮気などです。慰謝料の金額はケースバイケースで一概には言えませんが、多くの事案での相場は200万円から300万円の間と言われています。もっとも、事案によっては、100万円前後から、過去には1000万円に近いような高額の例もあります。

例えば、配偶者と離婚をせずに、配偶者の不貞相手に対してのみ慰謝料を請求するような場合には、慰謝料の金額は離婚の慰謝料の金額より少ない金額となるのが一般的な傾向です。

この点も、お話を伺えましたら、弁護士より目安をお伝えできます。

離婚の慰謝料、一体いくら?

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夫・妻(配偶者)の不倫相手に慰謝料請求できる?

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2.財産分与について
財産分与とは、結婚している間にできた夫婦の財産を分けることをいいます。分ける割合については、裁判所では、原則は半分ずつ分けるという「2分の1ルール」が用いられております。
分与の対象となる財産には、土地、建物、預金、株券、動産、会社の持分(株式)、医療法人の持分など、いろいろなものが含まれます。そのため、財産分与は慰謝料より高額になることがあります。

 
(1) 財産分与の「2分の1ルール」について

これは、簡単に言えば、ご夫婦が結婚してから別居するまでにできた夫婦の共有財産を、離婚するときにご夫婦で2分の1ずつ分ける、という原則です。
例えば、配偶者一方であるAさんが会社社長、投資家、医師、歯科医師のような収入の高い方で、Aさん名義の財産が1億円あったとします。そして、Aさんの配偶者であるBさんが家事を担当していてBさん名義の財産はとくにない、という状況で離婚する場合、2分の1ルールによれば、AさんはBさんに5000万円を財産分与として渡さないといけない、ということになり、そして、これが法律の原則となります。

ただ、例えば、上記の例で、Aさんが、財産ができたのは自分自身の独自の能力や技能によるものなので、2分の1ずつ分けるのはおかしい、自分の方が6割、7割もらうべきだ、という主張を行った場合にはどのようになるのでしょうか?
この問題については、先ほど述べたとおり、あくまでも原則は2分の1となります。とくに、仮に、Aさんの配偶者であるBさんが、基本的には家事を担っていたとしても、例えば、Aさんが経営する会社や病院の事務や経理なども行っていたりすると、これはより2分の1ルールを基礎づける理由となります。

しかし、例外として、配偶者のうちの医師の方の財産を6割とした、という裁判例があります(大阪高等裁判所平成26年3月13日判決(判例タイムズ1411号177頁)。
この裁判例で、医師の方の財産が5割ではなく6割とされた理由を簡単に言いますと、結婚前に医師の資格を得るために勉強などの努力をしてきたこと、結婚後も医師の資格を活用し多くの労力を費やして高額の収入を得ていること、とされています。

さらに、この裁判例は、直接事件には関係しないのですが、スポーツ選手の場合にも2分の1ルールを修正すべき場合があると述べています。というのは、スポーツ選手の多額の収入というのは将来活躍できなくなった場合の生活費まで考慮されているから、完全に2分の1にすべきではない場合がある、ということのようです。
ですので、財産分与の割合を2分の1にすべきではない、とお考えの方は、結婚後にご自分がご自分の独自の能力や技能を活用してどれだけがんばって働いて稼いできたのか、そして、そうした財産の形成に配偶者が関与していない、ということを証明できる証拠を確保しておいた方がよいでしょう。

たとえば、私見ではありますが、先ほどのAさんとBさんの例で言えば、Aさんが、自身が経営する会社の取締役会や、医療法人の理事会の議事録としてご自身が経営について発言した記録を残し、その経営方針が当たって売上げが伸びたというような証拠が考えられるかもしれません。さらに、配偶者であるBさんが会社や医療法人の経営に何の関与もしていなければ、Bさんは会社や医療法人に貢献していない、と言いやすくなるかもしれません。

 
(2) 会社の株式や医療法人の出資持分の財産分与について

離婚の際に、たとえば創業者や起業家の方は、自ら創業した会社の株式を保有していることがありますし、医師や歯科医師の方も、自ら開業した医療法人の出資持分を保有していることがあります。
そのため、財産分与の基準時(通常は別居時とされます。)に保有されていたこうした株式や出資持分も、原則として財産分与の対象となります。

①上場会社の株式について

上場会社の株式については、客観的に株価がありますので、それに従って金額の評価が行われるのが原則です。

②非上場会社の株式について

非上場会社の株式の金額をどのように評価するのかは難しい問題であり、裁判においてはっきりしたルールがあるわけではありません。
もっとも、1つの目安として、後述の医療法人の出資持分の評価と同様に、会社の貸借対照表に記載されている純資産額が用いられる可能性があります。

③医療法人の出資持分について

医療法人には、出資持分がある医療法人と出資持分がない医療法人があります。前者を持分あり医療法人、後者を持分なし医療法人といいます。そして、財産分与について問題となるのはこのうちの持分あり医療法人の方となります。
そして、持分あり医療法人の定款において、出資の払い戻しの規定がある場合に、医療法人の出資持分を財産分与の対象とした大阪高等裁判所平成26年3月13日判決(判例タイムズ1411号177頁)という裁判例があります。
それでは、医療法人の出資持分が財産分与の対象となるとして、それをどのように評価するか、という問題ですが、これもまだはっきりしたルールがあるわけではありません。ただ、医療法人の純資産額が参考となると思われます。医療法人の純資産額というのは、簡単に言えば、医療法人の資産から負債を引いた金額であり、貸借対照表と登記簿に書かれています。
そして、先ほどの大阪高等裁判所の判決は、離婚後の医療法人の経営について確実な予想をすることが困難な面もあるなどことを考慮して、純資産額の7割を評価額としていますので、この点もケースバイケースかと思います。

 

第3 お子様の問題について

家族問題

お子様の問題としては、主に、①親権、②面会交流(面接交渉)、③養育費が挙げられます。また、時に、無断での連れ去りの問題もあります。

 
1. 親権とは?

親権は、ごく簡単に申し上げれば、ご夫婦のうちのどちらが日頃お子様と一緒に生活するか、という問題です。争いがなければ、ご夫婦の合意で決められるのですが、争いがある場合には、裁判所が決めることになります。その際は、どちらが日頃お子様の面倒を見ておられるか、お子様の年齢、お子様のご意思など様々なことが検討されます。なお、日本の民法は単独親権制度(離婚したご夫婦の一方のみがお子様の親権を持つ制度)のみを採用しており、共同親権制度は採用しておりません(共同親権制度については別のページでご説明致します)
裁判所が親権者を決定する場合、家庭裁判所調査官の調査(家庭訪問やお子様、教育機関、監護補助者に対するインタビュー等)が行われ、その意見も裁判所の判断資料の1つとなります。

 
2. 親権の判断基準

親権者又は監護権者の決定は、子の利益及び子の福祉を基準としてなされなければならない(民法766条2項、819条6項、同820条)とされております。
そして、日本の裁判実務において、裁判所が親権者(又は離婚前の監護権者)の判断の基準とするのが以下の要素と言われております。

①現状尊重

これはもっとも重要な基準です。一般的には、日本では、親権は母親が優先であると考えられているかもしれません。しかし、実際に最も重視されているのは、どちらが日頃お子様の世話をしているか、という点になります。
例えば、父親であっても、日頃家事やお子様の世話を母親より行っていれば、親権者となれる可能性は十分あります。これも証拠が必要ですので、例えば、お子様との写真、録画、さらにはお子様をどう面倒みているのかという日記、日頃の買い物のレシート、お子様のご飯を作っている毎日の写真などが考えられます。
しかし、日頃全くお子様の世話をしていない、すべて配偶者に任せっぱなしで、家事もやっていないというような場合ですと、原則としては親権を得ることは難しくなると思われます。

②子どもの意思

上記のとおり、家庭裁判所調査官が調査の一環としてお子様に対してインタビューを行ってお子様のの意思を確認します。
もっとも、小さい子どもの場合には、同居している親の意見を聞きやすいとも思われますので、これは絶対的な基準ではありません。

③母親優先

とくに乳幼児については母親を優先するという考え方ですが、上記のとおり、現状尊重の方が重要ですので、これは絶対的なものではないと言われております。

④きょうだい不分離の原則

きょうだいはなるべく一緒に生活させた方がよいという考え方です。
外国では、きょうだいを離婚した夫婦が別々に育てるという結論もあるようですが、日本では、きょうだいはなるべく一緒に監護することが望ましいと考えられています。

⑤監護開始の態様

例えば、監護している方から子どもを無理矢理奪ってきたり、すぐ返すと言って騙して監護を開始してきたような場合は、親権はもらえない方向に判断される要素となります。
なお、単に相手方の同意を得ずに子どもを連れて別居を開始することは必ずしも違法ではないため(最高裁第3小法廷平成5年10月19日判決参照)、直ちに親権を否定する方向には働かないようです。

⑥離婚の有責性

これは不倫(不貞)を行った配偶者が親権者となれるか、という問題ですが、この問題は親権とは直接関係ないと考えられています。

⑦面会交流を許すか

親権者となるためには、親権がない方(すなわち同居していない方)とお子様との面会交流を許すことも重要です。但し、状況にもよります。

⑧監護補助者の有無

例えば、ご実家のご両親などが監護補助者となります。

⑨その他 

監護方針、病気、教育、居住環境なども考慮されます。
※参考文献:判例タイムスNo.1100「親権者の指定・変更の手続とその基準」(清水節)

離婚後、子どもの親権を取りたい!(親権の判断基準)

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3. 面会交流について

親権者にならず、お子様と一緒に住まれない方でも、お子様と定期的に会うこと(面会交流)が可能です。ただ、離別後のお互いの生活ペースなどもありますので、離婚の際に、月1、2回お子様と会うというような約束をする例もあります。

 
4. 養育費と婚姻費用について

養育費は、お子様と一緒に住まれない方が、お子様と一緒に住まれる方に対して支払うものです。金額は、原則としてご夫婦の話し合いで決まるのですが、決まらない場合は、裁判所が決めることになります。この点も、お話を伺えれば、弁護士より目安をお伝えできます。養育費を相手方が支払わない場合には、給与の差押えといった強制執行を行うことが考えられます。

これに対し、離婚前は、養育費ではなく婚姻費用といい、お子様の面倒を見ている配偶者の生活費も含まれるため、一般的には婚姻費用の方が養育費よりも多くなります。

より詳細に述べますと、婚姻費用というのは、夫婦が別居してから離婚するまでの間、収入が多い方が収入の少ない方に対して支払う生活費で、これは配偶者分とお子様の分が含まれます。
養育費というのは、夫婦が離婚した後に、お子様と同居していない方が、お子様と同居している方に対して支払うお子様の生活費(元配偶者の生活費は含まれません。)となります。
そして、配偶者分が含まれるため、婚姻費用の方が金額は大きくなります。
そして、この婚姻費用と養育費というのは、原則は合意で金額を決めるのですが、争っている当事者間で合意ができないことも多いため、最高裁判所が算定表というものを公開しております。

平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について

https://www.courts.go.jp/toukei_siryou/siryo/H30shihou_houkoku/index.html

そして、この算定表では、婚姻費用や養育費を支払う一方を義務者といい、支払いを受ける方を権利者といいますが、算定表では義務者の年収が、給与で2000万円、自営で1567万円の場合までしか書かれていません。
そして、例えば、義務者の給与年収が2000万円、権利者の年収が0円、0歳から14歳のお子さん1人の場合の養育費は、算定表によれば月額24万円から26万円となります。
また、義務者の給与年収が2000万円、権利者の年収が0円、0歳から14歳のお子さん3人の場合の婚姻費用は、算定表によれば月額46万円から48万円となります。

それでは、義務者の年収が2000万円を超える場合はどのような金額になるのか、というのが問題となります。
実務的には、婚姻費用の場合には、裁判所は細かい計算をして金額を算出しているようです。
例えば、0歳から14歳のお子さん3人の場合の婚姻費用について、詳細な計算をして、算定表を超える月額125万円とした大阪高等裁判所令和4年2月24日決定(判例秘書登載)というものがあります。
しかし、養育費については、裁判所は、原則として、義務者の年収が2000万円を超える場合でも、年収は2000万円を上限として算定することが多いようです。

 
5. お子様が連れ去られた場合(子の連れ去りの場合)について(日本国内)

配偶者によって、勝手に、お子さんが連れ去られてしまった、という場合に、どうやって取り返すか、という問題があります。

ところで、ハーグ条約というのをご存知の方もいらっしゃると思います。
ハーグ条約というのは、2014年に日本が加盟した条約で、非常に簡単に言えば、夫婦の一方が、お子さんを、相手方、すなわち配偶者の同意なく連れ去って別の国に行ってしまった場合、加盟国の間では、原則として、もと住んでいた国に戻しなさいという命令なり手続をしましょうというものです。

ただ、このハーグ条約というのは、あくまでも国を跨がったときの話であって、日本国内で連れ去りが行われた場合には、直接は関係がありません。

では、日本国内で、連れ去りが行われた、例えば、自分の同意なく、配偶者が子どもを連れて実家に行ってしまったというような場合に、どうするかということになります。
そもそも誘拐じゃないの、とお考えの方もおられるかもしれませんが、同居していた夫婦の一方が、他方の同意なく、お子さんを連れ去るのは原則としては誘拐ではないとされており、また、必ずしも違法ではないと考えられています(最高裁第3小法廷平成5年10月19日判決参照)。

しかし、相手方とお子さんが実家にいるというように、どこにいるのか分かっている場合には、家庭裁判所に、「子の監護者指定及び子の引渡」という審判を申し立てるとともに、「審判前保全処分」というものを申し立てることが考えられます。これはできるだけ早く申し立てる必要があります(もっとも、全く居所が分からないということであれば、事故の可能性もありますので、警察に相談する必要もあると思います)。

上記の審判前保全処分を申し立てると、裁判所が、早急に審理をして、1ヵ月程度で、暫定的に、決定を行います。この決定は、お子様の監護権者を暫定的にどちらかの当事者に仮に定めるという内容と、暫定的に、お子さんを引き渡せ、という内容になります。

その上で、本案審判といって、子の監護者指定・子の引渡し審判が行われ、どちらが監護者となるべきかについて本格的な審理が行われることになります。

ただ、ここで注意しないといけないのは、裁判所としても、審判前保全処分の決定の内容と、本案審判の内容が矛盾すると、お子さんが行ったり来たりすることになってしまうので、はあまり良くないと考えているようです。
ですので、「連れ去られた、すぐ審判前保全処分で取り返せる」、というのではなく、審判前保全処分を申し立てるにしても、本案審判でも勝訴できるある程度の見込みが必要となります。
そして、どのような場合に、こちらが監護権者となって、お子さんの引き渡しが認められるか、ということですが、これは基本的には離婚の際にどちらが親権者となるかという親権者指定の基準と同じと考えられますので、上記2をご覧ください。

勝手に連れ去られた子どもを取り返す!(子の連れ去り対応)

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6.ハーグ条約(国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約)について

国際的なこの連れ去り又は留置があった場合についてのハーグ条約については以下のページをご覧ください。

ハーグ条約について ▸

 
7. 離婚後の共同親権について

日本でも、離婚後の共同親権制度が導入されることが決まりました(2024年9月現在は、まだ施行されておりません)。
そもそも親権とは、簡単にいえば、未成年のお子様と一緒に住んだり、お子様の住居を決め、お子様の教育を決め、お子様の財産を管理し、お子様の健康や医療を決め、又はお子様の仕事を管理するなど、お子様のために様々なことを行う権限ということです。お子様が誰かと何かの契約をするときも、親権者の方が代理人となる権限を持ちますし、同意権もあります。
また、「親権」というと権利だけのように思いますが、これは義務でもあります。
※民法818条1項:成年に達しない子は、父母の親権に服する。
※民法820条:親権を行う者は、子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う。
そして、日本では、夫婦が結婚している間は、親権は共同で行使される、すなわち共同親権ということになります。
※民法818条3項:親権は、父母の婚姻中は、父母が共同して行う。ただし、父母の一方が親権を行うことができないときは、他の一方が行う。

では、夫婦が離婚した場合、お子様の親権はどうなるのか、というと、日本では、従来は、父母の一方だけが親権を持つという単独親権制度のみとなっていました。
※第819条1項:父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その一方を親権者と定めなければならない。
2項:裁判上の離婚の場合には、裁判所は、父母の一方を親権者と定める。

ただ、諸外国を見ると離婚した後も共同親権を採用している国が多いということで、日本でも結局、選択的ではありますが、離婚後の共同親権制度が採用されることになりました。選択的というのは、協議や裁判所が判決で決める際に、夫婦の双方又は一方を親権者と定めることになります。
なお、日本のご近所でも、台湾や韓国でも共同親権という制度があります。
ただ、台湾や韓国の共同親権も選択的なものであり、必ず共同親権になるわけではありません。

では、離婚した後に共同親権になるとすると、どうなるでしょうか。

離婚したら、もう夫婦は同居しないわけですから、基本的には、お子様は、父母のどちらか一方と一緒に住みます。
そして、単独親権の場合には、通常は、お子様と一緒に住む親が親権者となって、その親権者だけの判断によって、お子様について色々決めることができるのですが、共同親権という場合には、お子様と一緒に住まない親も、お子様についての色々な事項について、決定権を持つということになります。
裏を返せば、お子様と一緒に住んでいる親からすれば、もう離婚して、あまり会いたくないような元夫や元妻から、お子様の教育や財産などについてあれこれ言われる、ということになりますので、非常に面倒だ、ということになる可能性があります。
また、共同親権ということで、お子さんについての色々な手続のために、お互いがまた会わなければならない、ということも出てきます。

さらに、離婚した一方の親に、暴力(DV)などの問題があって、やっと離婚できた、というような場合も、共同親権ですと、そうした親との繋がりが残り、また問題が生じてしまうという可能性もあります。
ですので、例えば、共同親権という制度がある台湾でも、離婚した夫婦が今後もう会わないような場合には、単独親権の方が実際的だという意見もあります。
そして、台湾でも、親権について夫婦の意見が合わないときは、結局、裁判所が単独親権として、一方を親権者として決めます(※台湾民法1055条の条文上は裁判所が共同親権を選べる可能性もあります)。そのため、台湾でも、結局、どうやって単独の親権を得るか、ということがよく争点となっているようです。
ですので、共同親権が、離婚する夫婦どちらにとっても良い制度、というわけではないと思います。
それでは、共同親権のメリットは?というと、もちろんお子様にとっては、離婚した後も、両親双方との関わりがより持てるというメリットがあります。

また、共同親権にすると、一緒に住まない親の責任感が上がって、養育費を支払う可能性が高くなるという考えもあるようです。
また、単独親権という制度ですと、親権がどちらか一方にしかないので、これが離婚の争いの大きな問題となることがあります。0か100なので、和解のしようがない、ということで、争いが長引いてしまうということです。でも、共同親権であれば、両方親権者ということで、親権をめぐる争いが解決できる可能性が上がる可能性があります。
もっとも、お子様と一緒に住みたいというのがお互いの希望であれば、共同親権にしても、激しい争いになることは変わらないかと思います。
そのため、共同親権が実際に施行された後は、結局、単独親権を主張する夫婦間の争いが増えるのではないかと思われます。

第4 離婚の方法(離婚のための手続)について

離婚のやり方としては、主に、協議離婚、調停離婚、裁判離婚、という3つのステップがあります。

まず、協議離婚、というのは、お互い話し合いで離婚に合意して、離婚届を市役所や区役所に提出する、という方法です。外国によってはこれができない国もあるのですが、日本では可能です。証人が2人必要ですが、基本的に誰でもOKです。

離婚届は書く内容が決まっていて、お子さんとどのくらい会うとか、財産分与どうするかとか、細かい合意はできません。そのため、そういった詳細を合意するためには、別途、離婚合意書を作成することが必要です。

ただ、離婚しようという状況ですから、お互い口も聞かないとか、相手がいつも怒っているとかだと、話し合いも難しい状況です。そのため、この段階で弁護士に依頼されれば、依頼者様の代わりに弁護士が相手方と交渉を行っていくことになります。

離婚の合意ができない場合は、離婚したいという方が、家庭裁判所に「離婚調停」を申し立てることになります。日本は、離婚については、裁判の前にこの調停を行わないといけないことになっております(これを調停前置主義といいます)。

調停では、男性1人、女性1人という調停委員が、夫婦双方から、順番に話を聞いて、何らかの合意ができないかを図っていく手続です。

調停においては、裁判所で夫婦双方の待合室が違っていて、交代で調停委員に会うことになりますので、基本的には、合意が成立するまでは、双方は顔を合わせなくてよいことになっています。

この調停を、弁護士に依頼せずにご自身で行う方もいらっしゃいますが、注意すべきなのは、調停委員は中立の立場の人(しかも、法律の専門家ではありません。)で、どちらの味方もしてくれませんので、ご自身の権利を守るためには、調停段階でも弁護士に依頼した方が望ましいように思います。

弁護士に依頼すれば、調停でも依頼者様ご自身は普段出席しなくてよいのですが、調停が成立するときはお越しいただくことになります。

調停でも合意ができない場合には、離婚したいという方が、家庭裁判所に、離婚訴訟を起こすことになります。

離婚訴訟では、当事者がお互いに主張書面と証拠を提出し合い、離婚の理由(離婚原因)があると裁判所が判断すれば、離婚という判決が出ることになります。

離婚訴訟も、弁護士に依頼すれば、依頼者様ご自身は普段出席しなくてよいのですが、尋問のときと、和解が成立するときはお越しいただく必要があります。

尋問というのは、テレビでもご覧になったことがあるかもしれませんが、双方の弁護士と裁判所から質問を受けて、それに答えるというものです。

そして、もし第一審の家庭裁判所の判決に不満という場合には、第二審として高等裁判所にさらに訴えることができます。

離婚の方法3ステップとその注意点

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その他、国際離婚においては、さらに他の問題も生じますので、別のページで解説致します。

国際離婚ページへ ▸

 

第5 セカンドオピニオン業務

一度他の専門家に相談したが、別の意見が欲しいという場合など、弊事務所では、セカンドオピニオン業務も行っております。「他の弁護士にすでに頼んでいるから相談するのは悪い」とお考えになる必要はございません。お気軽にご相談ください。

 

第6 離婚に関するQ&A(質問と回答)

Q&A(質問と回答)を掲載いたしました。皆様のご参考になりましたら幸いです。

離婚に関するQ&A ▸