皆様のご参考のために
ご相談のジャンルごとに、Q&A(質問と回答)をまとめました。皆様のご参考になりましたら幸いです。
• 日本での模倣品(偽物)対策について
• 外国での模倣品(偽物)対策について
• 同じ名称の模倣品への対処について
日本での模倣品(偽物)対策について
- 日本での模倣品(偽物)対策にはどのようなものがありますか。
- 日本での模倣品(偽物)対策として、以下のようなものがあります。
① 税関での輸入差止め
日本の知的財産権を侵害する模倣品が日本に輸入されようとしている場合、そうした模倣品の日本への輸入をストップしてもらうよう日本の税関に申し立てることができます。
この手段は、一般的に、他の手段よりもスピードが速く、国内での流通を止めることができるため、非常に有力な手段といえます。
② 日本での民事裁判
日本の知的財産権を侵害する商品を日本で販売したり、日本に輸入している相手方に対しては、日本の裁判所に裁判を申し立てて、そうした行為をやめさせたり、損害賠償金を求めることができます。
③ 日本での刑事事件
例えば、日本の商標権や特許権等の知的財産権を故意に侵害している相手方に対しては、日本の警察に申告して、捜査、逮捕、刑事裁判等を行ってもらえる場合があります。
外国での模倣品(偽物)対策について
- 外国での模倣品対策にはどのようなものがありますか。
- 現在、いろいろな国でも、上記の日本と同じような対策をとることができるようになっております。
例えば、中国の税関(「海関」といいます。)にも、輸入差止め制度だけでなく、輸出差止めの制度があります。
そこで、中国で模倣品が見つかった場合には、中国からの輸出差止め(輸出のストップ)と、日本での輸入差止め(輸入のストップ)を組み合わせることで、二重のブロックを行うこともできるようになっております。
同じ名称の模倣品への対処について
- 日本企業A社は、これまで日本でのみ商品を販売しておりましたが、この度、中国へ自社商品の輸出をすることになりました。ところが、中国現地社員の報告によると、すでに中国の百貨店でA社製品と同じ名称の商品が販売されているとのことでした。
どのように対処したらよいのでしょうか。 - 対処方法としては、以下のようなものがあります。
(1) 中国で商標登録がある場合
A社が、すでに中国においてその製品についての商標権の登録を行っているならば、例えば、以下のような方法をとることが考えられます。
1. 工商行政管理局への申告
工商行政管理局は、A社製品と同じ名称の製品(以下「模倣品」といいます。)の製造、販売を止めさせ、その模倣品の製造に使用した道具(例えば金型など)の没収、処分などを行うことができます。
さらに、工商行政管理局は、商標権侵害の賠償金額について、調停を行うことが可能です。
2. 中国の裁判所への提訴
中国の裁判所(人民法院)は、模倣品の製造、販売を止めさせ、模倣品の製造に使用した道具の没収、処分などを行うだけでなく、商標権侵害の損害賠償の額を決定することができます。
3. 税関への申告
模倣品が中国から他の国へ輸出されることを防ぐため、中国の税関で模倣品の輸出の差止めを申し立てることも可能です。これにあわせて、日本への輸入を防ぐためには、日本の税関への輸入差止の申立ても可能ですので、これらにより、二重の防御手段を採ることができます。
(2) 優先権の主張
A社が中国で商標権の登録を未だ行っていないとしても、A社が、日本などの外国において最初に商標登録の出願を行い、当該商標登録出願から6ヶ月が経過していない場合には、A社は、中国において優先権を主張して商標登録の出願を行うことができます。
(3) 中国における抜駆け登録の取消し
しかし、上記のような事情がなく、中国において相手方の商標の登録が先になされているような場合には、どのようにすべきでしょうか?
その場合、例えば、以下のような方法により、中国国内で相手方の商標の登録の取消を行うことを検討することになります。
- 1. A社の製品の商標が、中国において、中国商標法13条にいう「著名商標」であること等を証明する方法。
- 2. 中国での登録出願は、他人が有している既存の権利(商号権、著作権など)を侵害してはならないとする中国商標法31条を利用する方法。
- 3. 中国での登録出願は、他人がすでに使用して一定の影響を有している商標を不正の手段によって抜け駆けして登録してはならないとする中国商標法31条を利用する方法。
- 4. 中国での登録商標が、欺瞞的手段又はその他の不正な方法によって取得されたものであるときは、当該登録商標は取り消されるとする中国商標法41条を利用する方法。
(4) その他の知的財産権
上記の設例では商標権を中心にご紹介しておりますが、中国では商標権の他にも、例えば下記のような知的財産権が存在します(但し、これらに限りません)。
- ① 特許権
- ② 実用新案権
- ③ 意匠権
- ④ 著作権
- ⑤ 不正競争防止法
- ⑥ 植物新品種保護条例の育成者権